1 QLTSの試験概要
QLTS(Qualified Lawyers Transfer Scheme。前回の記事も参照)では,
・一次試験である択一試験(MCT)
・二次試験である実技試験(OSCE)
がそれぞれ別々に実施され,両方に合格する必要があります。
試験制度については,https://qlts.kaplan.co.uk/に詳しく記載されていますが,簡単にご説明します。
MCT
MCT(Multiple Choice Test)は,全180問の5肢択一試験で,特設会場にあるPCで全て回答します。
時間は,午前・午後,それぞれ2時間45分ずつで,各90問ずつに分けられ,間に1時間のお昼休憩があります。一問当たり約1分50秒でスムーズに回答しなければ間に合いません。
科目数は,11科目(一般的な英国・EUの法制度,憲法,契約法,財産法,衡平法・信託法,不法行為法,欧州人権条約・人権法,会社法,刑法,弁護士職務規程,会計・簿記!!)でした(まさかイギリスで英語で簿記を勉強するとは・・・・笑)。強烈です。
下記が全予備校本。
OSCE
OSCE(Objective Structured Clinical Examination)の試験科目は,①ビジネス法,②財産法・相続法,③民事訴訟・刑事訴訟(細かく5つ)です。
試験は大きく,口頭実技と書面作成(PCベース)の2つです。
口頭実技(Part 1)については,次の3の課題について上記①~③それぞれを,各1日ずつ,計3日間です。
- Client Interview(クライアント(役者)との法律相談,必要事項の聴取,その場での暫定回答)
- Attendance Note(面談後に,聴取内容メモ,法律問題についての検討結果,今後の課題等のメモ作成)
- Advocacy/Presentation(訴訟については裁判官との法廷でのやり取り(弁論),それ以外の科目ではクライアント役(ソリシタ)の人に向かって,回答内容のプレゼン)
書面作成(Part 2)については,次の3の課題について上記①~③それぞれを,各1日ずつ,計3日間です。
- Legal Research(判例・文献検索ソフト等を使って,法律問題について回答)
- Legal Drafting(雛形が与えられて,訴訟書類,会社関係の議事録,契約書の特約条項等の作成)
- Legal Writing(依頼者宛ての回答メールの作成)
・・・はい,余裕でキャパ超えてます。。。
※注意!!
QLTS制度は,2021年からSQEという別制度に変更される予定です。
MCT合格者については猶予期間が設けられますが,QLTSの受験を考えていらっしゃる方は急ぐ必要があります。
例えば,https://www.lawcareers.net/Solicitors/the-solicitors-qualifying-examinationご参照。
2 QLTS タイムライン
QLTSの受験勉強開始から合格・登録完了まで私が実際に経験した時系列は,次のとおりです。
Time | QLTS | 留学・研修 |
---|---|---|
2018.6 | プレセッショナル 英語クラス | |
2018.9 | LLM入学 オリエンテーション | |
2018.10 | MCT(一次試験) 勉強開始 | LLM前期開始 |
2018.12中旬 | MCT勉強継続 | LLM前期終了 期末エッセイ作成開始 |
2019.1上旬 | MCT模試・最終詰め | LLM後期開始 |
2019.1.9 | MCT受験 | |
2019.2.8 | MCT結果発表(合格) | |
2019.3中旬 | OSCE(二次試験) 勉強開始 | LLM後期終了 |
2019.4 | OSCE勉強継続 | イースター休暇 (期末試験に向けた勉強) |
2019.5 | OSCE受験 #1 (3日×2セット) | 期末試験×5日間 |
2019.6 | ゆるっと卒論開始 | |
2019.8 | 卒論提出 | |
2019.9.4 | OSCE結果発表(不合格) | |
2019.9中旬 | OSCE勉強再開 | 研修開始 |
2019.11 | OSCE受験 #2 (3日×2セット) | 研修(試験中2週間休み) |
2019.2 | 日本での執務再開 | |
2020.3.4 | OSCE結果発表(合格) | |
2020.5.1 | Solicitor登録完了 |
次回は,各試験毎の対策編,いきましょー。…いや興味ないと思いますが。